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2006年 09月 12日

「夢見るシーズン」 by 伊藤つかさ

「夢見るシーズン」 by 伊藤つかさ_d0089830_2314067.jpg今回ご紹介するのは、伊藤つかささんの3rdシングル「夢見るシーズン」です。
1982年の2月21日に発売された作品です。

正直なところ、今までご紹介してきた作品と比べると、いかにも "アイドル" って感じのレコードです。
伊藤つかささんの歌は、聞いていてちょっと危なっかしいです。
それでも取り上げるは、もう単純に私が好きな曲だからです。

作詞作曲は原由子さん。
そう、サザンの原坊です。

原由子さんがアイドルに提供した楽曲には、斉藤由貴さんの「さよなら」や広末涼子さんの「風のプリズム」など、その歌声をうまく活かした、とてもいい曲が多いです。

http://www.youtube.com/watch?v=tNa5i2ZOOTI

今回取り上げる「夢見るシーズン」は、リリースされた当時から私は大好きで、ラジオをエアチェック(もう死語ですね)したカセットを何度も何度も聞いておりました。
私がこの歳になって聞いても、やっぱりいい曲だなぁ〜と思えます。

メロディーの展開としては、Aメロ、Bメロ、Cメロという構成なのですが、Bメロが十分にサビの役割を果たしているにも関わらず、Cメロでもう一度別メロディーのサビが登場するといった感じになっています。
このCメロでちょっとだけマイナーチックになり、歌謡曲ならではの "胸キュン" どころを作っております。
このCメロがあるのとないのとでは、この曲の印象は大きく違ったことでしょう。
原由子さんのキャラクターにぴったりのやさしさに溢れた作品で、職人的なメロディー・センスを感じさせる、本当に素晴らしい楽曲だと思います。

そしてアレンジは松井忠重さんです。
曲のイントロからバーチャイムがキラキラと鳴り響き、フルートのメロディーとギターのアルペジオで構成された前奏が、歌の出だしへすっと入っていく、やさしい導入部を作っております。
エコーが深く掛けられたストリングスとフルートが、曲全体をやさしい雰囲気で包み込んでおり、メロディーの転換部にシンセサイザーやハープシコードを効果的に登場させたり、曲の展開に合わせてリズム・パターンを変化させたりすることで、聞いていて飽きのこないアレンジに仕上がっています。

このシングルは2月21日にリリースされたのですが、原由子さんの歌詞の中には、

「春がくればきっとめぐりあえるはずよ」

「心の中はまだ寒いけど 恋がめばえたら素敵なシーズン」

といったフレーズが登場し、これから春を迎えるという期待感と、だんだんと大人になっていくという少女の期待感とが、ダブル・ミーニングで聞こえるようになっています。
そんな詩の世界と、やさしいメロディー、そしてやさしいアレンジが、この曲では見事に有機的に作用しているのです。

もうすぐ春を迎えるという季節になると何とはなしに期待に胸膨らませてしまうという思いは、若い頃誰もが経験しているのではないかと思うのですが、そんな琴線を、この曲は見事に突いてきます。
私が今でもこの曲を好きなのは、そんな頃の思いが胸をよぎるからなのかもしれません。


「夢見るシーズン」 by 伊藤つかさ_d0089830_4145920.jpgちなみにこのシングルのB面の「春風にのせて」は、大貫妙子さん作詞作曲、大村憲司さんアレンジの曲でした。

伊藤つかささんは、ソングライター、アレンジャーに本当に恵まれていたアイドルで、「夢見るシーズン」が収録されている彼女の2ndアルバム「さよなら こんにちは」では、先に挙げた方の他にも、矢野顕子さん、竹内まりやさん、坂本龍一さん、加藤和彦さん、高橋幸宏さん、清水信之さん、後藤次利さんといった、そうそうたる顔ぶれが参加しています。

現在入手可能な伊藤つかささんのベストCD「ゴールデン☆ベスト」には、そんなアルバムからの選曲も多く含まれております。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000657MHS/ref=pd_rvi_gw_1/250-3588130-3045829?ie=UTF8


80年代前半のアイドル歌謡は、本当に才能豊かな職人によって作り出されておりました。
おかげ様で私は未だにこの世界にどっぷりハマっているのですから。

by unokatsu | 2006-09-12 04:43 | 歌謡曲


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